三十代には分岐点がある/堀裕嗣先生
久しぶりの更新です。分散登校も終わり、やっと通常授業が始まりました。
通常授業とは言っても、いつものようなペアワークやグループワークはできないので、「○ページを30秒で読む」みたいな個人の課題を与えています。そろそろ教科書本文に入るから、ペアワークもしたいんだけどなあ・・・と思う今日この頃。
本日はネガティブモードも入っているので、テンションを下げたくない方はご遠慮ください・・・。
続きを読むおすすめ本「ケーキの切れない非行少年たち」感情のペットボトルと「コグトレ」
今日は、 一時期話題になった本「ケーキの切れない非行少年たち」より、印象に残った話を紹介します。
本の内容はこちら↓
児童精神科医である著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。
この本は、タイトルの通り非行少年たちの認知能力の低さに焦点をあてています。
学校や社会の中で忘れられがちな「病名のつかない子どもたち」の存在に触れた上で、第7章では1日5分でできる認知機能を高めるためのトレーニングがいくつか紹介されています。認知トレーニングだけをまとめた「コグトレ」シリーズもあります。↓
私が特に印象に残ったのは、感情表現の必要性と方法について説明する「感情のペットボトル」です。
画像:「ケーキの切れない非行少年たち」より
- ペットボトルにそれぞれ感情のラベルを貼り、水を入れる。
- 「怒り」だけ2リットルペットを使用。トラブルを招きやすい厄介な感情。
- 「嬉しい」は水を入れず空っぽにする。
- 全てのペットボトルを1つの袋に入れて担がせる⇒感情を抱え込むことは重くてしんどいこと
- ペットボトルを1本ずつ取り出すとだんだん袋が軽くなる⇒感情を外に出すと、心が楽になる
- 「怒り」のペットボトルを外に出すとすごく楽になる⇒「怒り」を溜め込むのはしんどいこと
- もし「怒り」のペットボトルを取り出すときに相手に投げつけたら?⇒相手が怪我をする。犯罪になる。
「怒り」のペットボトルも、相手にそっと優しく渡せば相手を傷つけません。こうして、子どもたちに「怒り」の感情の表現の仕方を教えるそうです。
以前道徳の平先生の本も紹介しましたが、人間が生きていく上で身に着けるべき態度や考え方を可視化して伝えると、印象に残って後から思い出しやすいので、有効な方法だと思います。
まだお読みでない方は、是非読んでみてください。
自然と英語が身につく絵カード『BBカード』の体験会に行ってきた
もう2年も前になりますが、「B.B.カード」の体験会に参加した時のことを書きます。
BBカードとは、主に子供向け英会話教室などで使われているもので、イラストカード64枚とそれに対応する英文カード64枚からなるカードです。
正式名は「LETTERS & SOUNDS 64」というのですが、カードの中に登場するBetty Botterという女の子のイニシャルからBBカードと呼ばれています。
カードに書かれる英文は英検3級程度の文法が網羅されており、Betty Botter bought some butter. のように韻を踏んだリズミカルな英文です。
子どもたちはこのカードを使ってゲームをしながら何度も英文を声に出し、自然に英語の音とリズムを身につけます。
私が体験会に参加した時は、実際に英会話教室で先生をされている方が授業をしてくださいました。私は英語教師という身分を隠して、ただの一般人生徒として参加しました。
基本ルール
- 1グループ4人×4チーム。
- 各グループの机にはカゴがあって、大きな声で発音したり、質問に答えようと頑張るとその都度コインを入れてくれる(カラフルなプラスチックの偽コイン)。
- 最後に、ラッキーコインの色を発表して、同じ色のコインが一番多いチームの勝ち。(全部で何枚集めたかではないので、最後まで勝敗がわからず楽しめる)
授業の流れ
- かるた 64枚のうち今回使う16枚の絵カードを机の上に並べる。先生が英文を読む。生徒はリピートしながら、どの絵カードかを探す。
- ビンゴ 4×4になるように並び替えて、再び先生が英文を読む。読まれたカードは裏返す。時々裏返したあとに「女の子のくつの色は何だった?」と英語で聞いてくるので答える。
- 神経衰弱もどき すべてのカードを裏返す。先生が英文を読み、そのカードがどこにあるか当てる。
- 生き残り 自分のお気に入りのカードを1枚選ぶ。先生が英文を読んでいくので、自分が選んだカードが読まれたら負け。
良い点
- テンポが良い。先生はコインを入れるために常に教室を歩き回っているので緊張感がありました。
- 常に英語を話している。先生が英文を読んだあとは生徒がリピートするので、常に英語を話している状態です。しかも、英文を読んだ後に「靴の色は?」「かばんの色は?」など違う質問も入るので気が抜けません。
- ご褒美のコイン 自分が頑張った成果がすぐにコインで返ってくるので、やる気が出ます。答えが間違っていても、頑張った姿勢が見えたらコインがもらえるので、英語が苦手でも授業を頑張ろうと思えそう。
授業の流れや細かいルールは先生によって違うかもしれません。
BBカードは5,000円程度で買えますが、教科書本文やターゲットセンテンスでカードを作っても同じようなゲームができそうだなと思いました。(コインのシステムは少人数制じゃないと難しそうですが)
時々BBカードの体験会をしている英会話教室があるので、気になる方は検索してみてください。私の場合、大人も参加できる体験会を見つけたのでラッキーでした。
マルチプルインテリジェンスで、自分に合った学習法を知る
先日、坪田先生の「人間は9タイプ」という本を紹介しましたが、これとは別の8タイプ分類も見つけました。それはマルチプルインテリジェンスという考え方です。
マルチプル・インテリジェンスとは
人間の個性は様々です。作文が得意な子、スポーツが得意な子、歌うのが得意な子・・・。普段授業でぶすっとしている生徒が、部活になると生き生きしたり、人に優しくしていたりなど、今まで知らなかった意外な一面を発見するとその日1日ハッピーになれます。大げさに言うと、この仕事について良かったなと思います。
では、私たちが「個性」と呼ぶものの正体は、一体何なのでしょうか。ハーバード教育大学のハワード・ガードナー氏は、人間には8つの知能があり、その強弱が個性であると唱えています。
これらの8つの知性の中で得意な方向からアプローチすることで、その人の個性をいかした力の伸ばし方ができるそうです。
- 言語的知能・・・・・・・話し言葉、書き言葉への理解力や感受性が高い
- 数学的・論理的知能・・・論理的思考ができる。規則性を見つけたり、予測が得意。
- 空間的・視覚的知能・・・絵画が得意。クリエイティビティーがある。
- 身体的・運動的知能・・・運動能力が高い。身体を自由にコントロールできる。
- リズム・音楽的知能・・・リズム感や音感が優れている。音楽の感受性が高い。
- 対人関係の知能・・・・人との関わり合いが好き。グループワークが得意。
- 内観の知能・・・・・・自立心や決断力がある。独自のやり方を見出す。
- 自然・環境の知能・・・環境・自然・動物に関心が高い。アウトドアが好き。
英語の学習に当てはめると
マルチプルインテリジェンスの考え方を英語学習にあてはめてみると、以下のような学習法が効果的だと考えられます。
- 言語的知能・・・・・・・英語で書かれた本を読み、要約する。
- 数学的・論理的知能・・・文法を学習する。
- 空間的・視覚的知能・・・英文を暗記し、再現する。英語を視覚的に頭に残す。
- 身体的・運動的知能・・・口や手に覚えさせるために、ひたすら言ったり書いたり。
- リズム・音楽的知能・・・洋楽を聞く。リズムを意識したクイックレスポンス。
- 対人関係の知能・・・・英会話を習う。
- 内観の知能・・・・・・学習の振り返りをして、改善する
- 自然・環境の知能・・・英語で図鑑を読む(しかけ絵本がおすすめ↓)
私は今まで(今も)文法を中心にした指導をしてきたので、②数学的・論理的知能に偏った授業をしていたのだなと反省。英語の授業の中で、8つの知能をバランスよく取り入れた授業を意識すれば、より多くの生徒に興味を持ってもらえるのかもしれません。
クラス運営・グループ学習に当てはめると
ソースを見つけられなかったのですが、理科の実験グループを分ける時にマルチプルインテリジェンスを参考にしているという情報を見たことがあります。
身体的能力が高い生徒が実験用具を取りに行き、論理的能力が高い生徒が予測を立て、視覚的能力が高い生徒が観察結果をイラストにまとめ、言語能力が高い生徒が発表原稿を書く。それらのメンバーを対人関係の能力が高い生徒がまとめる・・・というように、1つのグループの中に異なる能力を持つ生徒がいるように、意図的に振り分けるそうです。
確かに、グループ学習もクラス経営も、集団の中で多様性がある方が良いと思います。無作為に決めたグループだと、どうしても学習が盛り上がる班とそうでない班がでてきてしまうので・・・。
自分はどのタイプ?学活や道徳でマルチプルインテリジェンスを学ぶ
こちらのサイトでは、マルチプルインテリジェンスについての授業実践が書かれています。
- 9つの知能(なぜかこのサイトでは9つ)を紹介
- ある有名人が、どの能力を持っているかをグループワークで考える
- 自分はどの能力を持っているか・どんな能力をこれから伸ばしたいか
という授業展開です。
学活でも、グループ分けでも、英語の授業にも役立つマルチプルインテリジェンス。今後も活用していきたいです。
参考サイト
おすすめ本「人間は9タイプ 子どもとあなたの伸ばし方説明書」
今日のオススメ本はこちら。
ビリギャルでおなじみの坪田先生の著書です。
人間を9タイプに分類する診断テスト
坪田先生は、大学で学んだ心理学の「エニアグラム」という理論や他の学説を踏まえて生徒を9タイプに分類し、生徒それぞれに合った学習方法をアドバイスしているそうです。坪田先生の塾生は、入塾時に必ずこの診断テストを受けるそうです。
36問・90問版の診断テストがweb上に公開されています。↓
学活でやってみたいなー。
ここからは、9タイプの簡単な説明と効果的な学習法を紹介します。(自分用まとめなので、詳しい情報は本をご覧ください。)
①完璧主義者タイプ
- 任されたことは責任を持ってしっかり行う。
- 計画通りにいかないとやる気をなくすのが弱点。
- ペースメーカーになるコーチやメンターの存在が重要。
- 完璧を求めるあまり、検算しすぎて試験時間がなくなることも。時間配分に注意。
②献身家タイプ
- 人に喜ばれることに喜びを感じる。
- 一緒に勉強する仲間を見つけてペアを組むと良い。
- 「人のため」を追求しすぎて、自分のことはそっちのけにならないよう注意。
③達成者タイプ
- 人と競争することに喜びを感じる。
- 頑張り屋さんだが、手痛い失敗で挫折を感じるとやる気を失う。
- 短期目標をたくさん設定し次々とクリアすることで勢いがつく。(「15分で問題を解く」など)
- 高いハードルを設定するのは逆効果。
④芸術家タイプ
- 独特な価値観を持ち、世間一般的な評価や目標達成にはあまり関心がない。
- 勉強する目的がはっきりすればすごい集中力を発揮する。(「この知識を強化すれば、もっと面白いことができる」)
- 「自分にしかできないこと」であればあるほど、やる気が出る。
- 集団の中で競争させるより、個別指導で目的意識を持たせてやると良い。
⑤研究者タイプ
- 頭で考えるタイプ。いわるゆる「勉強好き」
- 探求心が偏ってしまうと、得意教科ばかり極めがち。
- 勉強自体が目的になってしまうことがあるので、「世の中にどう役立てるか?」という意識を持つことも重要。
⑥堅実家タイプ
- 誠実で責任感が強く、ルールどおりにコツコツ物事を行なうのが得意。
- 優柔不断な一面もあり、様々な勉強法に目移りして混乱することも。
- 勉強時間、使う問題集、目指す目標などを細かく決めて、記録して振り返ることで成功への道筋が見える。
⑦楽天家タイプ
- 好奇心旺盛で楽しいことが大好きな性格。
- 飽きっぽいので、ワクワクする目標を立てる。(モテそう、楽しそうなど)
- 「これが終わったらお菓子を食べる」などの報酬を用意するのも○。
- 薄い問題集をたくさんこなしてテンションアップ!
⑧統率者タイプ
- リーダー気質なので、仲間と勉強することが向いている。
- 献身家タイプのように助け合うのではなく、自らリーダーとなっていチームを仕切るのに適している。
⑨調停者タイプ
- 波風を立てたくない平和主義タイプ。
- 闘争心に欠けるため、スローラーナーになりがち。
- 自分に合わない指導者でも我慢しがち。本人は我慢しているという自覚もない。
- 様々な指導者や指導法を試して「自分が無理していない」と感じるものを探して。
また、この9タイプ分類を使ってビジネスの場で自分を生かす方法がリクナビで紹介されています。
【あなたはどのタイプ?】『ビリギャル』の坪田先生が教える!9つのタイプ別「自分の伸ばし方」 | リクナビNEXTジャーナル
学活や道徳で診断テストをすれば、生徒一人ひとりに合った指導ができそうです。
地理が苦手な英語教師にオススメの動画「一筆書きの世界地図」
英語の教科書って、色々な国が出てきますよね。過去にあったのは、ブータン、ベネズエラ、ペルー、ハンガリー、インドなど・・・。
教科書にも地図は載っているのですが、そういう時の地図って一部分をアップしたものなので、だいたいこの辺りだよーというイメージをつかんでもらうために世界地図全体を黒板に書きたい時があります。
しかし、私はいかんせん絵心がないし、地理が苦手。そんな私でも簡単にササっと世界地図が描ける方法はないのか?そんな時に見つけたのがこの動画です。
動画の古さ、一筆書きと謳っているのに一筆書きではない、「あとは島♪」というパワーワード、など色々ツッコミどころ満載なのですが、個人的には大ざっぱに書けて、歌で覚えられるのが良かったです。苦手な人にはこういうの大事。
そして何度か書くうちに、同じ書き順で森のくまさんのリズムでも書けることを発見したので、今は森のくまさんのリズムを心の中で歌いながら描くことにしています。
♪ ユーラシア(ユーラシア)大陸を(大陸を)
中国 東南アジア インド アフリカー
ヨーロッパ アフリカ あとは島~
恥ずかしくて同僚には言えません。
LINE・SNS・スマホ──尾木ママの「ウワサの保護者会」を見て
NHKで尾木ママがやっている「ウワサの保護者会」をよく見るのですが、印象に残っているテーマの1つに「子どものSNSが心配」という回があります。
中学生のSNS利用率は8割を超えているとのことで、中学校でもSNSがらみの生徒指導は珍しいことではなくなりました。「中学生」「SNS」この2つのワードが並んだだけで、もう悪い予感しかありません。
中学生のSNS利用では、友達など知っている者同士のトラブルだけでなく、見ず知らずの大人とのトラブルも増え続けています。
SNSに起因する事犯の被害児童数は過去最悪に。わいせつな行為や連れまわしなどの被害に遭う子どもは増え続けている。
そんな中、特に興味深かったのが、ウニさんという親子への取材です。
「SNSでどこまで自分の情報を公開していいと思うか」という質問に対して、9つの項目について公開して良いか悪いかを答えるのですが、その答えが衝撃でした。
<どこまで公開していい?>
- 顔 親○ 子○
- 名前 親△ 子○
- 誕生日 親○ 子○
- 自分の居場所 親× 子○
- 友達の顔 親△ 子○
- 学校名 親× 子○
- 自分の部屋 親× 子×
- 水着写真 親× 子○
- 住所 親× 子×
親の知らないところで「自分の居場所・学校名・水着写真」をSNSにアップしているのかもと思うとぞっとします。実際、SNSで個人情報を見た人が校門で待ち構えていた、しつこく交際を迫られる、などの被害にあう子どももいるそうです。
今や中学生YouTuberなんかもいますし、ネット上に自分の情報を晒すことに抵抗のない子どもたちは多いだろうなあと思います。
道徳でスマホの話が出た時に、生徒たちに同じアンケートを取ってみたらどういう結果になるのか、正直怖いです。学級通信に結果を載せたら、保護者の方々は卒倒してしまうかもしれませんね・・・。
↓放送の内容はこちらにくわしく載っています。↓
子どものSNSが心配<番組内容> | 番組内容 | ウワサの保護者会:NHK
また、スマホの利用に関してはアメリカに住むある親子が定めた「18の約束」の話も印象深いです。
スマホやゲームの使用に関して、親子でしっかりルールづくりをしている家庭もあれば、何の制限もなく使わせている家庭もあって、子どもへの情報教育だけでなく保護者への情報教育の必要性も感じています。